「身体性を通じた社会的分断の超克と多様性の実現」第一回公開シンポジウムの開催について
本課題の第一回公開シンポジウムを2024年2月11日(日)にAA研で開催しました。
企画・共催: 日本学術振興会・受託研究課題「身体性を通じた社会的分断の超克と多様性の実現」(学術知共創)、AA研基幹研究人類学「社会性の人類学的探求:トランスカルチャー状況と寛容/不寛容の機序」
趣旨説明(概要)
近年、いわゆるグローバル化や社会の複雑化などに伴って、人種、民族、ジェンダー、障害の有無をはじめとする指標による社会的分断や摩擦・差別などがますます顕著に、ないし可視化される傾向にあると言える。こうした問題に関しては、どちらかといえば政策や政治・経済的構造などマクロな視点からの研究の蓄積が進む一方で、より日常的なミクロな視点、とりわけ身体性の次元に焦点を当てたアプローチからの研究の進展は、必ずしも十分とは言えない。この背景には、社会的領域に関して身体性が果たす役割に関する軽視であるとか、身体を画一的・静態的(スタティック)に捉えがちな通念的な身体観が関係している。また、そこには身体的経験の多様性を看過しがちな、いわば普遍主義的(西洋中心的)バイアスも潜んでいるのではないだろうか。 今回のシンポジウムでは、近代西欧に端を発する身体軽視のバイアスや普遍主義的な身体観を革新するために、各地の多様な身体性にも目配りした、いわば身体に関する多様で変容的な視点への転換を試みる。すなわち身体を研究するに当たって、それを普遍主義的かつ静態的(固定的)な旧来の身体観のバイアスから解き放って、身体を「多様性(diversity)」と「変容(transformation)」の相から総合的に検討していくことを試みる。この観点から、本シンポジウムでは、世界各地の多様で豊かな身体的実践を、個人の身体を取り巻く(他者、人工物等を含む)多様な環境やローカルな社会文化的な文脈などにも留意しながら、人類学・地域研究・心理学・哲学・障害学・アート研究等の複数の分野の研究者の協働で学際的に検討することを試みる。
プログラム
14:00- 14:20 床呂郁哉(AA研)「趣旨説明」
14:20-14:50 広瀬浩二郎(国立民族学博物館)「ユニバーサル・ミュージアムとは何か―触察鑑賞の文化史的意義をめぐって」
14:50-15:00 休憩
15:00-15:30 高橋康介(立命館大学)「心理学の視点から顔身体の概念を再考する」
15:30-16:00 ケイトリン・コーカー(北海道大学)「『ダンス村』-- 私たちを引き離し、私たちを結びつくもの」
16:00-16:15 休憩
16:15-16:25 小手川正二郎(國學院大學)「コメント1」
16:25-16:35 大石高典(東京外国語大学)「コメント2」
16:35-18:00 質疑応答
18:30-20:30 情報交換会