ルワンダの戦前と戦後―国の変化を共に見る
下記内容にて「ルワンダの戦前と戦後―国の変化を共に見る」が開催されました。
講演会では、大虐殺が起こる以前のルワンダを知るルダシングワご夫妻から、社会的分断とその超克に関して示唆にあふれた経験が語られた。
ルワンダでは、大虐殺による分断以前に、ドイツ、次いでベルギーによる植民地化によって恣意的に民族がつくられ、分断されてきた。大虐殺による分断はこうした歴史的な分断をその背景としてもつ。また、虐殺以後も、加害者と被害者(遺族)の間だけでなく、障害を負った者とそうでない者、隣国のコンゴやブルンジとの対立や分断が生じた。義肢制作および義肢制作所の建設・再建設を通じて、障害をもつ人々や虐殺の加害者・被害者双方と関わってきたルダシングワ夫妻は、自分たちも含めて立場が異なる人々が共同作業を通じて分断を乗り越えていく可能性を示してこられた。
コメンテーターを務めて下さった、障害学を専門とされる田中みわ子先生は、こうしたルダシングワ夫妻の歩みのなかで、目的ありきでなされる政策や活動とは異なって、生活や作業を共にするなかで芽生える共生の可能性、抗いがたい不条理・理不尽を前にして発揮される「したたかさ」(個々人で異なる文脈を生きている人々がもつしたたかさ)がもつ重要性に光をあてた。これらの点は、学問的にはコンヴィヴァリティやレジリエンスという概念とともに論じられるかもしれないが、今回の講演会では、こうした概念の方を哲学・人類学・障害学などの学際的な観点から再検討し、より実態に即したものに改鋳していく必要性が示されたと考える。
開催日:2024-07-13 (土) 14:30 ~ 16:30
場 所:303/大会議室
プログラム:
14:30–14:40 開会あいさつ 小手川正二郎(國學院大學)
14:40–15:40 講演 ルダシングワご夫妻
15:40–15:50 コメント 田中みわ子(東日本国際大学)
15:50–16:30 質疑応答
司会:村津蘭(東京外国語大学)
使用言語:日本語
参加費:無料
共催:
日本学術振興会・受託研究課題「身体性を通じた社会的分断の超克 と多様性の実現」(学術知共創),基幹研究人類学「 社会性の人類学的探究:トランスカルチャー状況と寛容/ 不寛容の機序」